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□ 裏聖職者にうの冒険 第一章 □

旅の途中、ふと立ち止まったにうは、腐りかかった焼き肉が落ちているのに気づいた。

「あーあ、もったいねーな。

にうは焼き肉を拾い上げて臭いをかいでみたが、食えそうにないので、また捨ててしまった。

「嬢ちゃん、そいつは捨てちゃいかん。

振り向くとそこには、いかにも手先口先だけは達者そうな老人が、杖にもたれて立っていた。

「チューするんじゃ。そうすれば……

「冗談じゃねーぞ。だれがこんなもんにチューするか!

「じゃあ、代わりにわしにチューしてくれんかの。

「あぁ?何言ってんだジジイ?

ジジイは睨み付けられてたじろいだが、負けずに続けた。

「わしも昔は名のある格闘家だったんじゃが、年には勝てんでの。
「体が言うことをきかんのじゃ。
「嬢ちゃんにチューしてもらえれば、少しはシャキッとするかもしれん。

「カンケイねーじゃん!

「そ、そう言わずに何とか……

「しゃーねーなー!顔出せ、顔!

「おお、ありがたい。さっそくお願いしますじゃ。

そう言うと、老人はいきなりズボンを脱ぎ始めた。

「おい、ジジイ!何やってんだお前?

「わしは全身くたびれとるんじゃ。体中くまなくチューしてくれん。

「全身って、何だよ!耳なし芳一じゃねーぞ!

「そうだ、耳も忘れんでくれよ。耳はチョー気持ちええんじゃ!

「ジジイ、耳から毛が生えてんじゃねーかよ!しかも白髪だし!

「嬢ちゃん、耳から毛が生えたジジイはいやか?

「くだらねーこと聞くな!何処に好きな奴がいる?

老人はいつのまにかパンツ一丁だ。

「どうせワシはジジイじゃ。耳からちちれっ毛がいっぱい生えた汚いジジイじゃよ。
「嬢ちゃんだって、こんな毛の生えたジジイの耳なんか、ペロペロしたくないのは、わかっとるんじゃ。

「だったら最初から言うな!

「やっぱり駄目か……

老人は肩を落とした。

「毛が生えてなきゃいいぞ。

そういうと、にうは耳毛をむしり始めた。

「ぎゃー!何するんじゃ!わかった、耳はあきらめるから、やめてくれ!

「全身なんて、やってられっか!1ヶ所だけにしろ!

「どこでもええか?

老人の濁った目の中で、煩悩の炎がメラメラと燃え上がるのを、にうは見逃さなかった。

「どうせ1ヶ所なら……

老人は自分の股間をじっと見つめた。

「……食いちぎってやろうか?

「わ、わかった……!じゃあホッペでいいわい。

ズボンをはきながら、老人はしぶしぶ承諾した。

にうはいかにも嫌そうな態度で、老人の頬に、
触るか触らないかという程度に、唇を当てた。
すると、老人はみるみるうちに、更に老けてしまった。

「な、なんじゃこれは!

その時、突然ゾンビの群れがあらわれた。

「危ない!

老人は逃げようとしたが、足もとがふらついているので、転んでしまった。
ゾンビたちは老人をとり囲んで、蹴りを入れている。

「面白そうだな。アタシもやろーっと!

にうも一緒になって蹴り始めた。にうの蹴りが一番強烈だ。

「うぎゃー!やめてくれー!

当然だが、誰もやめる者はいない。

「あんた、聖職者じゃろう。ゾンビを退治してくれ!

「かったりーじゃん。だいたい、オメーが一番うぜーんだよ!

そうこうするうちに、チューの効果が切れて、老人は元の若さに(若くはないが)戻った。

「えーい、どけ!ゾンビども!

老人は魔法でゾンビたちを蹴散らした。

「ひどい目にあったわい!

「アタシはにう。アンタは?

「わしは発泡斎じゃ。

「発泡斎か、どうりでゾンビに蹴られて泡吹いてたわけだ。
「……よし、ジジイひとりじゃ不安だから、アタシがボディーガードしてやろう。

「いや……その……別に……ひとりで大丈夫ですじゃ。

「遠慮してんじゃねーよ!
「……よし、決まり!まあ、安くはないけどな。

「カネ取るんかい!