デスパイズから帰って来た俺は、己の未熟さに腹が立ち修行の旅に出ることになった。
自分には探索家が向いているのか、自分の力で何処までいけるのか。
それを確かめるべく歩き始めた。今日も陽が照り続けている。
飢えとの戦いもこの国の重大な問題だ。
街外れに着くとしばらくは帰ってこないだろう街並を頭に焼きつけ、ブリタニアの首都ブリテインを後にしたのだった。
何処に行くわけでもなく、ただ今よりも優れた探索家になりたい。
漠然とした目標しか頭に無かった俺は、最初は各地に点在するダンジョンや廃墟をがむしゃらに探索した。
あまり目立ったものは発見することができなかったが、確実に経験という糧が自分の中に吸い込まれていった。
修行を始めて三ヶ月、俺はプライド高き貴族の街”マジンシア”を訪れていた。
貴族なら俺の求めるお宝や、財宝のありかを知っているものがいるかもしれない。
うまくいけばパトロンとして俺の活動をバックアップしてくれるかもしれない。
そんな事を考えながらマジンシアの街を歩いていた俺は、ふと引き込まれるかのように酒場に入っていった……
酒場に向かった俺は、とある貴族に出会った。
なんでも、その貴族は依頼をこなすと好きな金額をもらえるらしい。
これ以上ないチャンスだと思った俺は早速その貴族に話し掛けた。
「やぁ、ここ最近依頼が少なくて困ってるんだ。何かいい仕事は無いかい?
気さくに話し掛けたつもりだったが、どうやら相手はそういうタイプではないらしい。
「無くも無いが、必ず帰ってきてくれるのか?
心にも無い言葉が帰ってきた。
そんなに危ない仕事なのか?
「ああもちろんさ。俺だって一応はブリテインじゃ知られたトレジャーハンターだぜ。
「ほぉ、面白い。ならば依頼しようか。
「毎度あり。期待しててくれよ。
「この先に洞窟がある。その洞窟には3つの宝石が隠されている。
「三つを手に入れたものには古代の魔人を召喚できる力が宿るらしい。
「へぇ~そりゃすごい。さぞかし恐ろしい洞窟なんだろうな。
「何でも、三匹の獣が宝石を守っているらしい。
「私が頼んだ99人の冒険者たちすべてが帰ってこなかったがな。はっはっは……
「この親父何笑ってやがる……笑い事じゃないじゃねぇか……
心の中でそう思うも、俺は一度受けた仕事は断れない性格なので引き受けることにした。
洞窟への地図をもらい歩いていく道の途中、俺は今後について考えていた。
好きなだけの金額ってことは……そうだ、前から夢見ていた俺の探検隊を作ろう。
そして、ブリタニア中に支部を作りすべての宝を探し当てる……
この仕事さえ終わればその夢にかなり近づく事ができる。
そんなことを考えていると、洞窟の入り口に到着した。
洞窟からの風が異様に冷たい。
「お前さん。そこのお前さん。
紫色のローブに身を包んだ、いかにも怪しげな老婆が俺に声をかけた。
「なんだい?俺は今忙しいんだ。
俺の体を舐め回すように見た後にその老婆は言った。
「あんたこの洞窟の宝石を捜しに来たんだろう?
「ああそうだ。とある貴族に頼まれてな。まぁ一日二日あれば探し出せるだろうよ。
誇らしげに老婆に答えると……
「そうかいそうかい。そりゃよかった。
「あんたが帰ってこなかったら、明日この墓が丁度100個になる所だったよ。
!!
老婆が見た先に無数の墓が広がっていた。
木を十字に合わせただけの粗末な墓だが、俺の家業にとって一番縁があってはいけない代物だ。
「ははは。わかったよ婆さん。あんたに迷惑はかけないさ。
「そうだ、この日記を預かっててくれ。
そういうと俺はいつもつけている探検日記を婆さんに手渡した。
「一応4、5枚破いといた。帰ってきたらその日記にあわせるからよ。
「それまでは婆さんが持っていてくれ。暇な時間をそいつで過ごしてくれよ。
「もっとも婆さんが読めればの話だがな。はっはっは。
言われっぱなしだった俺は婆さんに皮肉を言ってやると、洞窟の中へと進んでいった。
今思えばあの婆さんの最後の言葉が行くなといっていたのかもしれない。
「さぁて、木を二つ拾ってこなきゃねぇ……
その後コアビットの姿を見たものはいない。
ただブリタニア王立図書館にこの日記が差出人の名前も書かれずに送られてきただけだった。
――ブリタニア冒険記 奢れるもの――
みなさん。
今まで読んでいただいてありがとうございました。
リアルの事情で UoS ができる時間がなくなってきたので、この辺で一応終わりにしたいと思います。
なんだかんだで死んでしまったコアビットですが皆さんが楽しんでいただけたなら幸いです。
キャラクターはこの日記とともにいなくなりますが、UoS での思いでは消えません^^
皆さんも、コアビットのようにならないように?
己を知り、ブリタニアを闊歩してくださいませ♪
それではまたの機会にお会いしましょう……